尿崩症(にょうほうしょう):犬の多飲多尿の原因のひとつ

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犬を病院に連れてこられる原因のひとつとして

『最近水をよく飲んでおしっこが多い』

というものがあります。

原因はいろいろあるのですが(後述)、その中のひとつに尿崩症(にょうほうしょう)というものがあります。

まず日常会話では使わない単語なので、初めて聞く方も多いと思います。

今回はこの聞きなれない尿崩症という病気について説明していきます。

症状

異常に水を飲む:犬で体重1kgにつき1日70~90ml以上水を飲むのは異常、

例)10kgの犬が大体1リットル(1000ml)くらい飲むと確実に異常です。

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異常におしっこが多い。我慢できずに漏らすこともある。

まれに癲癇(てんかん)の様な発作やふらつき、ぼーとするなど神経症状が出ることがある。

 

原因

2つあります。

①脳の下垂体というところからのホルモンの出る量が少なくなるために起こる:*中枢性尿崩症と呼ばれる。*簡単にいうと獣医学では脳に原因があると中枢性という単語が使われることが多いです。

下垂体から出るホルモンはいろいろありますが、この場合は抗利尿ホルモン(ADH)という尿を減らすホルモンです。正確には腎臓での水分の再吸収を促進して、尿量を減らすホルモンです。

これが出なくなったり、少なくなるのでどんどん尿として水分が出てしまい。喉が渇く→多飲多尿といういう風になります。

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②腎臓が悪くなり上記の抗利尿ホルモンに反応しなくなる。

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診断

多飲多尿はいろいろな病気で起こるのでまずそれらがないかどうかを検査していき、最終的にそれらがなければ、水分制限試験というものを行います。

 

多飲多尿を起こす病気

腎不全、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、副腎皮質機能低下症(アジソン病)、腎盂腎炎、子宮蓄膿症、肝臓疾患、甲状腺機能亢進症、先端巨大症、多血症、糖尿病、高カルシウム血症、低カリウム血症、ビタミンD中毒

 

多飲多尿を起こす薬

利尿剤、ステロイド、フェノバルビタール

 

上記の病気、薬を飲んでないと確認できれば水制限試験を行います。

水制限試験:獣医師の監視下で水分を取らない状態にし、体重と尿比重(尿の濃さ)を1~2時間ごとに測定し、最終的に体重が5%減った時に尿比重を測定して診断する。犬の場合尿比重が1.025以上あれば尿崩症ではなく、心因性多飲(精神的なもので多飲になっている)と診断されます。

水制限試験中には過度の脱水、腎不全、神経症状に注意が必要。

水制限試験に代わって治療として使う酢酸デスモプレシンを試す方法もあります。

ただし副腎皮質機能亢進症は最初酢酸デスモプレシンが効きますが、徐々に効果がなくなるのでその時は副腎皮質機能亢進症の再検査を行います。

 

脳の下垂体に問題がある中枢性尿崩症の場合は、MRIによる脳の画像診断をすることが望ましいですが、全身麻酔が必要なのとMRI自体大学病院かそこそこ大きな病院にしかない設備です。

 

治療

多尿が許される状況であれば、自由に水を飲めるようにするだけで、特に治療は必要ありません。

ただし水を切らすと命にかかわる状態(致死的な脱水や神経症状)になるため、常に水が飲める状態を保つことがとても重要です。

 

多尿で困る場合は治療をします。

下垂体異常の中枢性尿崩症は、酢酸デスモプレシンという薬を点眼します。人間用の薬で人では鼻から吸うのですが、犬の場合は難しいというか不可能なのでそれを点眼します。

治療に使う薬ですが、診断がはっきとしないときにも、診断をつけるために試しに点眼したりします。

ただまあまあ高価な薬なのでそこのところは飼い主さんの了承が得られれば試します。

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腎性尿崩症になっている場合、サイアザイド系(ヒドロクロロチアジド:商品名ダイクロライド)といわれる利尿剤を使うこともあります。

ヒドロクロロチアジドの用量:1~5mg/kg 1日2回

尿が出すぎるのに利尿剤?

と思われるかもしれませんが、この利尿剤を使うことによって、体のナトリウムを減らします。

そうすると腎臓ではナトリウムを吸収しようとします、このとき一緒に水を吸収するので、結果尿が減るという理屈です。

投薬する場合は、定期的に腎臓や電解質を血液検査でチェックする必要があります。

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