動物病院での輸血の実際

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動物病院の現場での輸血方法は

血をもらえる(供給する)犬および猫(ドナーと言われる)の用意→血液型の検査→クロスマッチテスト(後述)→輸血

という流れです。

輸血が必要な状態は当然貧血ですが、貧血を起こす原因としては、出血、免疫介在性溶血性貧血、たまねぎ中毒、腎不全、肝不全、慢性炎症などがあります。

その他輸血を行うものとして、血小板減少症、凝固障害、低タンパク血症などもあります。

 

犬の血液型

犬の血液型の分類法はいくつか種類があります。

現在の日本では血液型が13のタイプに分けられるDEAシステムが主流です。

13に分けられるといっても犬の輸血で重要なのは、1種類DEA1.1という血液型が陽性か陰性かということで、実際行われている輸血に関しては他のタイプはほぼ関係ありません。

さらに1回の輸血ではDEA陰性犬に対して陽性犬の輸血を行ったとしても、溶血等の重い副作用はまずでません。

ただしその場合でも輸血された後は陰性犬の中にもともとないDEA1.1の抗体ができるので、2回目に陽性犬から輸血を行うと溶血やショックといった思い副作用が出ます。

犬の血液型判定

上記のように13に分ける必要は実際の輸血には必要ないので、DEA1.1なのか(陽性)そうではないのか(陰性)に分ける為のラピッドベット(RapidVet)というキットがあります。

EDTAという抗凝固剤を用いて0.4ml少量の血液を採血し判定できます。

 

猫の血液型 

猫の血液型は、A、B、ABの3種類です。

その中でもAが圧倒的に多く、その次にBで、ABは非常に稀です。

ただ犬と違い猫の血液型は輸血の際に非常に重要で、血液型が違うと重い副作用が出ます。

A型にはA型のB型にはB型の血液を輸血する必要があります。

特にB型の猫にA型の猫の血を輸血するとショックや溶血を起こします。

ただしAB型の猫に輸血が必要な時は、A型の猫の血を輸血することはできます。

そもそもAB型の猫を探すほうが難しいでしょう。

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クロスマッチテスト

簡単に言うと血液を採り遠心分離器にかけて、上澄み液の血漿と下にたまる赤血球を血をもらう側と血をあげる側でそれぞれ混ぜ合わせて、赤血球が凝集(くっつき合う事)しないかどうかを見ます。

血液型が同じでもこのクロスマッチテストが不適合だと輸血できません。

輸血の為の採血方法

犬は頚の血管(頚静脈)か前足の血管から採血します。太めの針で採血し採った血は輸血バッグ(200ml)に保存します。

猫は頚静脈からクエン酸ナトリウムを抗凝固剤として30ml~50mlのシリンジ(注射器)で採血します。

(猫は200mlもの血液が採れないので輸血バッグは使用できないのです。採血限界量は下記参照)

犬の採血量は20ml/kg、猫は10ml/kgが限界量(max)としています。

(採血した後は点滴と美味しい食事をご褒美に与えます)

輸血バッグには抗凝固剤としてCPD液あるいはCDPA液が入っており、CPD液は冷蔵(4℃)で21日間、CDPA液は35日保存できます。

血液を抜く際に犬は麻酔なしで採れますが、猫はじっとしてくれないので麻酔をかけて血を抜くことが多いです。

採血した血はすぐに固まってしまうので、血を抜きながらもう一人は輸血バッグを揺らし、血液と抗凝固剤をよく混ぜる必要があります。

輸血の実際

輸血バッグから点滴する場合必ず輸血専用フィルター付きの点滴ラインを使用します。

万が一小さな血のかたまり(血餅)を輸血してしまうとそれが詰まり血栓塞栓症などを引き起こすことがあるので、

必ずフィルター付きの点滴セットを使用します。

実際の輸血量は、一応きちんとした?式があるのですが、感覚的には10ml/kgではやや物足りなく、

できれば20ml/kg程度の輸血量が望ましいですね。

最初は1~3ml/kg/1時間 でゆっくり入れながら徐々に量を増やす。

1回を4~6時間で終わらせるのが細菌の感染や血液の新鮮さを保つのに理想だが、輸血量が多いと実際はもう少し時間がかかることが多い。

輸血後は溶血する原因が取り除かれたり、再出血することがなければ順調に貧血から改善する。

だたし出血や溶血が抑えられない場合は輸血をした次の日には、元の貧血の値に戻ってしまう事も残念ながらあります。

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ちょっとした雑学

猫の体の全血液量は、65ml/kgです。例)4kgの猫の全血液量は260mlです。

犬の体の全血液量は、90ml/kgです。10kgの犬の全血液量は900mlです。

だいたい全血液量の1/3が失われると出血性のショックを起こします。

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